日曜日の虚構 [1739号]
2006年11月19日本日の日記
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一
雨がしとしととしてて、なんとなく憂鬱な気分にさせる
真っ暗な自分の部屋。昨日Webサイトを見たまま寝てしまったので
PCはつけっぱなしで、冷却用のファンの風きり音だけが時間がちゃんと動いていることを教えてくれているみたいでした。
僕の部屋の時計はすべてデジタル時計で、針の進む音も聞こえなくて
まったくもって生気のない部屋です。
天候の悪さに不機嫌ささえ覚えましたけれども、ともかく
風呂も入らずに寝てしまった自分の後始末をするために
リビングまで向かいました。
リビングには先に起きていた母親がおり、一言二言
会話した後で、僕は風呂に入りました。
風呂というものは、実はあまり好きなものではないのです。
自分を磨くという作業を苦手とするせいなのでしょうか
とにかく、ただただ、かったるいものでしかないと思ってます。
湯船の優しささえうざったく思えたのでため息をひとつ残して
風呂場をあがりまして、時間違いのパジャマを着て
再びリビングに戻りますと、母親が尋ねてきました。
母
「お昼にはチャーハンを作ろうと思うが、他に希望はあるか?」
こんな問では、暗に同意を求めているとしか思えないのですが
とりあえず、チャーハンだけは避けたかったので
僕
「できるなら、チキンラーメンがいい」
と返事しました。母は特別不服そうな顔をしませんでしたが
しかし、やはり素直に同意すればいいものを・・・
と言いたそうな顔をして僕を見てました。
僕は風呂に入ったことによって完全に覚醒したので
とりあえず、つけっぱなしのPCの処理をすることにしました。
昨日の残党をデスクトップから淘汰したあと、
僕はしばらく椅子に座ってインターネットを楽しみました。
そうしていると、母親が昼飯ができたぞと言うので
それをいったんそのままにして、またリビングに向かいました。
出されたのは、塩ラーメンとチャーハン
母
「はい、チャーハンセットおまちどおさま」
僕
「・・・そこまでしてチャーハンを食わせたいのか」
ついでに言えば、僕の望みはただ『ラーメン』であるという
点だけしか叶えられていません。もちろんチキンラーメンの
代替として塩ラーメンが出てきたのではありません。
母
「塩の方がいいから」
という母の勝手な決定により、こうなったのです。
まあもともと何でもよかったので不満とは思いませんでしたが。
適当に昼飯を食べた後は、再びインターネットを楽しみました。
昨日から風邪を引いたようですこし頭が重かったので
時折ベッドに戻りまして、ごろごろとして休日の贅沢な
時間を楽しみました。僕にとってごろごろとしている時間が
もっとも贅沢であり、至福のひとときなのです。
ひとは寂しかろうと言うかもしれませんが、このとき
僕はただごろごろとしているだけではないのです。
このときは、大方考え事をするのです。まじめな考えも
くだらない考えも。今日は:pRessのことばかり考えてました。
今日こそ無印良品で定規を買おうと決心していたのですが
残念ながら雨ですから。僕はただ怠惰しているしか
なかったのです。
二
ベッドでごろごろとしてると、生気のない部屋の机の上で
青く光るLEDがありました。俗に言う携帯電話というやつで、
それを開くと知らないアドレスからのメールでした。
『今、突然だけど下のコンビニにいる』
なんとも不気味なメールでしたが、先ほどまでごろごろとしていたせいか
頭が回らず、幸いにして過度の恐怖感に支配されることはありませんでした。
確かに、我が家の下、━マンションなので━には、コンビニ
があります。というわけで、起きてから開けようともしなかった
窓のカーテンを開けてみました。すると、どうも見覚えのある
人をそこに見たのです。
『とりあえず、あなたのアドレスは僕の携帯には入っていないので
申し訳ないですが、お名前をお教えくださいますか?』
『申し訳ないのはこちらのほうですよ、あのときのKです』
僕はその名字を数年ぶりに見た。そうか、あのときの・・・
実習生なのか・・・。
頭の回らない僕も、静かに驚きを感じ始めてました。
願いが叶った瞬間なのに、なんとも滑稽な様子です。
僕は急に客観的に自分を見て笑いました。
『今更何かご用で?』
『冷たいのね。確かに今更だとは思うけど、もう一度
あなたに会ってみたくなったのよ』
『それは、僕に下に降りてこいとおっしゃっているのですか?』
『そうね、そうかもね、できればそう願うわ』
窓から見える例のKは、やや退屈しているように見えました。
年月は経ち、彼女からもらったはがきも色あせましたが、
彼女はあのときと変わっていないようでした。。
彼女の願いを叶えるべく、僕はなるべくまともな服を身にまとい
身なりをなんとか取り繕って彼女の前に出ることにしました。
昔の僕なら、この雨だってどうでもよくなるくらい喜んだ
に違いないだろうが、今の僕は、なぜか傘の中で小さくなっている
だけでした。
「お久しぶりです」
言葉をぶつけたのは僕の方からでした。
「お久しぶり。あれからもう3年かしら?」
「そうですね、3年です、何かお変わりありましたか?」
「いいえ、とくには。犬も元気だし、私も相変わらず
自由人のままよ」
コンビニの前での立ち話も、あのときと変わりませんでした。
だけど、やはり屋外でいろいろと聞くのはつらいものがあるから
「もしよければ、スタバにでもいきませんか」
「そうねぇ、私もそうしたいと思ってた」
というわけで、僕と彼女は微妙な雰囲気(さらに雨がそれを
助長させていた)のまま、駅の中にあるスタバまで歩いて向かうことにしました。
歩いている間中は、僕が年を取ったことに伴う、雑談が主体の
話が続きました。彼女はたぶんこんな話には興味がなかったと思います。
だけど黙りこくるのも・・・という配慮のある会話だったんだろかと思います。
僕らはカウンター席に座りました。お互いが同じタイミングで
コーヒーの飲んだ後、今度は彼女から話し始めました。
「最後の、そう、あの最後の瞬間の話がしたいと思ったの、
たぶんもう今のあなたなら受け口の支度ができていると思って」
「最後ってなんです?」
「君の考えが読めないほど鈍感なつもりはないし、
実際のところ、実習期間中からそれは読み取れたのよ」
「・・・そうですか」
「抽象的だから、具体的に言うと、その、私に対する・・・」
「いや、いいんです、過去ですから」
「あなたは後悔してるんだろうなぁ」
「・・・なにが?」
「私は偶然“あの後”君のアドレスの由来が知りたくって
検索にかけたことがあって、君の日記を見つけたの、
素人の文章だけど、自分の昔を思い出して少しは
おもしろいと思ったわ、だからお気に入りに入れて
それ以来、ずっと読んでた。つまり、何が言いたいか
わかるわよね?」
「・・・ほわわわわあああああああああああ
1903年 モーリス・ガラン 1904年 アンリ・コルネ
1905年 ルイ・トゥルスリエ 1906年 ルネ・ポチエ・・・
」
三
目を覚ますと、そこはやっぱり生気を失った部屋でした。
相変わらずPCの冷却用のファンの風きり音がして、
もちろん携帯電話にメールが来ているわけもないし、
ツール・ド・フランスの歴代優勝者の暗唱が完璧に
なっている訳でもなかった。そう、僕はごろごろとしているうちに
うたたねをしてしまい、眠ってしまったのです。
僕
「夢か・・・最後の落ちは狙いすぎだけど、けっこう良い夢だったかも」
過去に依存しすぎるのはよくないけど、未来がおもしろくない
なら、いつまでも過去にひたっていた方が僕にとっては
幸せなのかもしれません。それがよくないことくらい、
心理学者でもスピリチュアルカウンセラーでもない僕だって
わかります。でもいいんです。
日曜日の虚構・終
今日のマミ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
天袋で楽しそうに遊ぶマミ。
そんなにおもしろいかね。登ったりおりたりするのが。
さんざん遊び尽くした後は、いつもどおりソファーで寝てました。
日曜日の虚構・解説
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一が実話(普段ならいい加減に書いている日常を
細かく書いただけ)
二がフィクション部分。実際のところこんな夢は見てません(笑
ただ、僕の趣味は『妄想すること』で、その妄想の一部を
書き出してみました。
三がオチ。
こんなことをやろうと思ったのは、ただ何となくです。
いつも同じ調子で日記を書いてたので書く方も
飽きてきたんです。すみません・・・。
僕はお話を考えるのが結構好きです。どこに発表するわけでもなく
ただ自己満足のために書いている話のファイルも
このPCにはありますよ。
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一
雨がしとしととしてて、なんとなく憂鬱な気分にさせる
真っ暗な自分の部屋。昨日Webサイトを見たまま寝てしまったので
PCはつけっぱなしで、冷却用のファンの風きり音だけが時間がちゃんと動いていることを教えてくれているみたいでした。
僕の部屋の時計はすべてデジタル時計で、針の進む音も聞こえなくて
まったくもって生気のない部屋です。
天候の悪さに不機嫌ささえ覚えましたけれども、ともかく
風呂も入らずに寝てしまった自分の後始末をするために
リビングまで向かいました。
リビングには先に起きていた母親がおり、一言二言
会話した後で、僕は風呂に入りました。
風呂というものは、実はあまり好きなものではないのです。
自分を磨くという作業を苦手とするせいなのでしょうか
とにかく、ただただ、かったるいものでしかないと思ってます。
湯船の優しささえうざったく思えたのでため息をひとつ残して
風呂場をあがりまして、時間違いのパジャマを着て
再びリビングに戻りますと、母親が尋ねてきました。
母
「お昼にはチャーハンを作ろうと思うが、他に希望はあるか?」
こんな問では、暗に同意を求めているとしか思えないのですが
とりあえず、チャーハンだけは避けたかったので
僕
「できるなら、チキンラーメンがいい」
と返事しました。母は特別不服そうな顔をしませんでしたが
しかし、やはり素直に同意すればいいものを・・・
と言いたそうな顔をして僕を見てました。
僕は風呂に入ったことによって完全に覚醒したので
とりあえず、つけっぱなしのPCの処理をすることにしました。
昨日の残党をデスクトップから淘汰したあと、
僕はしばらく椅子に座ってインターネットを楽しみました。
そうしていると、母親が昼飯ができたぞと言うので
それをいったんそのままにして、またリビングに向かいました。
出されたのは、塩ラーメンとチャーハン
母
「はい、チャーハンセットおまちどおさま」
僕
「・・・そこまでしてチャーハンを食わせたいのか」
ついでに言えば、僕の望みはただ『ラーメン』であるという
点だけしか叶えられていません。もちろんチキンラーメンの
代替として塩ラーメンが出てきたのではありません。
母
「塩の方がいいから」
という母の勝手な決定により、こうなったのです。
まあもともと何でもよかったので不満とは思いませんでしたが。
適当に昼飯を食べた後は、再びインターネットを楽しみました。
昨日から風邪を引いたようですこし頭が重かったので
時折ベッドに戻りまして、ごろごろとして休日の贅沢な
時間を楽しみました。僕にとってごろごろとしている時間が
もっとも贅沢であり、至福のひとときなのです。
ひとは寂しかろうと言うかもしれませんが、このとき
僕はただごろごろとしているだけではないのです。
このときは、大方考え事をするのです。まじめな考えも
くだらない考えも。今日は:pRessのことばかり考えてました。
今日こそ無印良品で定規を買おうと決心していたのですが
残念ながら雨ですから。僕はただ怠惰しているしか
なかったのです。
二
ベッドでごろごろとしてると、生気のない部屋の机の上で
青く光るLEDがありました。俗に言う携帯電話というやつで、
それを開くと知らないアドレスからのメールでした。
『今、突然だけど下のコンビニにいる』
なんとも不気味なメールでしたが、先ほどまでごろごろとしていたせいか
頭が回らず、幸いにして過度の恐怖感に支配されることはありませんでした。
確かに、我が家の下、━マンションなので━には、コンビニ
があります。というわけで、起きてから開けようともしなかった
窓のカーテンを開けてみました。すると、どうも見覚えのある
人をそこに見たのです。
『とりあえず、あなたのアドレスは僕の携帯には入っていないので
申し訳ないですが、お名前をお教えくださいますか?』
『申し訳ないのはこちらのほうですよ、あのときのKです』
僕はその名字を数年ぶりに見た。そうか、あのときの・・・
実習生なのか・・・。
頭の回らない僕も、静かに驚きを感じ始めてました。
願いが叶った瞬間なのに、なんとも滑稽な様子です。
僕は急に客観的に自分を見て笑いました。
『今更何かご用で?』
『冷たいのね。確かに今更だとは思うけど、もう一度
あなたに会ってみたくなったのよ』
『それは、僕に下に降りてこいとおっしゃっているのですか?』
『そうね、そうかもね、できればそう願うわ』
窓から見える例のKは、やや退屈しているように見えました。
年月は経ち、彼女からもらったはがきも色あせましたが、
彼女はあのときと変わっていないようでした。。
彼女の願いを叶えるべく、僕はなるべくまともな服を身にまとい
身なりをなんとか取り繕って彼女の前に出ることにしました。
昔の僕なら、この雨だってどうでもよくなるくらい喜んだ
に違いないだろうが、今の僕は、なぜか傘の中で小さくなっている
だけでした。
「お久しぶりです」
言葉をぶつけたのは僕の方からでした。
「お久しぶり。あれからもう3年かしら?」
「そうですね、3年です、何かお変わりありましたか?」
「いいえ、とくには。犬も元気だし、私も相変わらず
自由人のままよ」
コンビニの前での立ち話も、あのときと変わりませんでした。
だけど、やはり屋外でいろいろと聞くのはつらいものがあるから
「もしよければ、スタバにでもいきませんか」
「そうねぇ、私もそうしたいと思ってた」
というわけで、僕と彼女は微妙な雰囲気(さらに雨がそれを
助長させていた)のまま、駅の中にあるスタバまで歩いて向かうことにしました。
歩いている間中は、僕が年を取ったことに伴う、雑談が主体の
話が続きました。彼女はたぶんこんな話には興味がなかったと思います。
だけど黙りこくるのも・・・という配慮のある会話だったんだろかと思います。
僕らはカウンター席に座りました。お互いが同じタイミングで
コーヒーの飲んだ後、今度は彼女から話し始めました。
「最後の、そう、あの最後の瞬間の話がしたいと思ったの、
たぶんもう今のあなたなら受け口の支度ができていると思って」
「最後ってなんです?」
「君の考えが読めないほど鈍感なつもりはないし、
実際のところ、実習期間中からそれは読み取れたのよ」
「・・・そうですか」
「抽象的だから、具体的に言うと、その、私に対する・・・」
「いや、いいんです、過去ですから」
「あなたは後悔してるんだろうなぁ」
「・・・なにが?」
「私は偶然“あの後”君のアドレスの由来が知りたくって
検索にかけたことがあって、君の日記を見つけたの、
素人の文章だけど、自分の昔を思い出して少しは
おもしろいと思ったわ、だからお気に入りに入れて
それ以来、ずっと読んでた。つまり、何が言いたいか
わかるわよね?」
「・・・ほわわわわあああああああああああ
1903年 モーリス・ガラン 1904年 アンリ・コルネ
1905年 ルイ・トゥルスリエ 1906年 ルネ・ポチエ・・・
」
三
目を覚ますと、そこはやっぱり生気を失った部屋でした。
相変わらずPCの冷却用のファンの風きり音がして、
もちろん携帯電話にメールが来ているわけもないし、
ツール・ド・フランスの歴代優勝者の暗唱が完璧に
なっている訳でもなかった。そう、僕はごろごろとしているうちに
うたたねをしてしまい、眠ってしまったのです。
僕
「夢か・・・最後の落ちは狙いすぎだけど、けっこう良い夢だったかも」
過去に依存しすぎるのはよくないけど、未来がおもしろくない
なら、いつまでも過去にひたっていた方が僕にとっては
幸せなのかもしれません。それがよくないことくらい、
心理学者でもスピリチュアルカウンセラーでもない僕だって
わかります。でもいいんです。
日曜日の虚構・終
今日のマミ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
天袋で楽しそうに遊ぶマミ。
そんなにおもしろいかね。登ったりおりたりするのが。
さんざん遊び尽くした後は、いつもどおりソファーで寝てました。
日曜日の虚構・解説
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
一が実話(普段ならいい加減に書いている日常を
細かく書いただけ)
二がフィクション部分。実際のところこんな夢は見てません(笑
ただ、僕の趣味は『妄想すること』で、その妄想の一部を
書き出してみました。
三がオチ。
こんなことをやろうと思ったのは、ただ何となくです。
いつも同じ調子で日記を書いてたので書く方も
飽きてきたんです。すみません・・・。
僕はお話を考えるのが結構好きです。どこに発表するわけでもなく
ただ自己満足のために書いている話のファイルも
このPCにはありますよ。
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